(いつかちゃんと書いてみたいネタ.05 シュタインとマリー)

さきほどから懸命にスカートのポケットを探っているが、大した領域のないスペースに何度指を入れた ところで、某ネコ型ロボットのような四次元ポケットではないのだから、目当てのものを取り出すなんて 出来るはずがない。しかも、かれこれ5分は粘っているのだから、往生際が悪すぎる気もする。 それでもやっと諦めがついたようで、マリーは溜息と共に肩を落とした。
「やっぱ忘れちゃったのかー。かさかさしてて気になるのになー」
そう言って唇に指を当てるのを見て、何を探していたのか簡単に検討がついた。
だから、シュタインはあくまでも親切心から、申し出たのだ。
「あぁ、リップクリーム探してたの?なんなら、あげるよ……」
白衣のポケットから小さなスティックを出して、マリーに差し出したが……そのドン引きした表情と言ったら。
「『え?なんでシュタインがそんなもの持ってるの。キモイ』……みたいな顔してるけど?」
「うぇ!?い、いや、気持ち悪いなんて思ってないわよ!ただ、想像できなくて……」

そりゃ、そうだ(^0^)/

慌てて手を振って否定するマリーだが、それは言われなくとも分かっている。自分でも使う姿を想像したくもない。 どうやら、現代では男性でも乾燥対策でリップクリームを持つのは普通だそうだ。
だって、そうだろ!?キスするときに、女の子に失礼じゃねぇか!と言う先輩から、無理矢理渡されたものだ。 必要ないものを、しかも使いかけの状態で渡されても非情に迷惑だったので、捨てようとしたところタイミング良く マリーが欲しがっていたので渡した。これを親切心と呼ぶべきなのか微妙なところだ。 なにせ捨てようとした。しかも使いかけ。使いかけ……よくよく考えたところで、シュタインはリップをポケットへ戻す。
「え、なんでしまうのよ。くれるんじゃないの?」
「……なんか嫌になった。自分で買って」
「なによぉ!けちー!!」


こんなオチ。反転。