(いつかちゃんと書いてみたいネタ.06 シュタインとマリー)

夕食を食べながら、シュタインは向かい側に座っているマリーのちらりと向けられる視線が少し気になっていた。 「ご飯アルよー」とおかしな語尾で声をかけてきた時点で、夕食メニューはなんとなく検討がついていた。 リビングに行けばテーブルにラーメンが用意されていたわけだが、箸を上手く使えないマリーがなぜラーメンを作ったのか。 滅多に食べないので久しぶりに食べたくなった?箸を使う練習? それとも……どこで手に入れたのかは知らないが、着たかっただけなのかもしれない。あえてここではスルーしておく。 そして夕食を頂き始めたわけだが、問題はここからだった。
これは特定のアイテムを身に着けた人だけが体験する現象。 気温が低い中、自宅に帰ってきた時などが多いかもしれない。湿った暖かな空気が冷たいレンズに触れて、結露となり……眼鏡を曇らせるのだ。 人によっては恥ずかしいと感じるようだが、もちろんシュタインがそんな細かいことをいちいち気にしているわけがない。 しかし、目の前のマリーは思いきり気になって……否、面白いらしい。
出来立てのラーメンは熱い。湯気が出ているほどだ。つまりは、そのせいで眼鏡が曇っているのだ。 おかげでマリーの顔は見えないのだが、雰囲気からして笑いを耐えているは容易に想像できる。

「笑ってくれて構わないけど……?」
「い、いや……ここで、笑う、と。と、まらなく、なる、から……」

声を震わせて、搾り出すように途切れ途切れ言うマリー。そこまで笑うほどなのだろうか。
だが言わせていただくと、形から入ってか、チャイナ服を着ているマリーのほうが相当おもしろいと思うのだが……可愛いからいいけど。

チャイナ服を着せたかっただけ。デス・シティーにラーメンとかあるのだろうか……?