(いつかちゃんと書いてみたいネタ.便乗編04 シュタインとマリー)

熱い……。なんだろうか、この熱さは。 目覚めかけの記憶では、導入したばかりのこたつに温まりながらも昼寝に入ったことは覚えている。だから体温が上がっているのは理解できるのだが、それにしても暑すぎる。しかも全身が。加えて重い。動けない。なんとか首だけを動かして、恐る恐る目を開けたところ……いつも不気味にへらへらと笑っているシュタインの顔がかなりの至近距離にあった。
「……!!」
叫び声をあげなかったのは凄いことだと思う。しかし驚きのあまりに離れようと動いた肘がシュタインの顔面にヒットしてしまった……と言うのに、痛いとか驚くとか、そういった感情がどこかに吹っ飛んでいるシュタインは、のろのろと目を開けて、欠伸を一つ。すかさずマリーの怒りの声が飛んだ。
「なんでシュタインが隣で寝てるの!」
「眠くなったから。ほかに理由ってあると思う?」
「質問に質問を返さないで。眠いからって、こうやって寝るのはどうかと思うけど?」
意外に体温の高いシュタインが後ろにぴったりと張り付いていれば暑くなるはずだ。おかげで寒いはずの部屋の中でうっすら汗までかいている。
そもそも、なぜシュタインが隣にいるのか……マリーが言い出したことなのだ。片時もシュタインと離れたくないから!という可愛い理由では断じてない。向かい側に座ったシュタインの足が……なんと、あろうことかマリーのスカートの中に侵入してきたのだ。足を伸ばして座っていたマリーがいけないのか、シュタインの足が長いのがいけないのか――もちろんわざとではないはず――こんな最悪すぎる事故が起きれば誰だって隣に座るように言うだろう。 だから、隣にいることは納得している。一緒に寝ていたのも、つられて眠くなったのだろう、と無理矢理納得する。 マリーがここで一番言いたいことは、先ほどから変わらないこの重みだ。
「隣で寝てようがなんでもいいけどね!でも、足が重いのよ!なんで足を絡めるの!」
まるで逃がさないというように、シュタインの足に捕えられていた。これは重いはずだ。
「こたつが小さいせいで、足伸ばすと出ちゃうんだよ。だから足曲げないと」
「だからって、私の足を巻き込む必要ないでしょ?」
「隣にいるから必然的に巻き込んじゃっただけ。別に変なことはしてないよ」
へらっと笑って言われる言葉の何割を信用して良いと思う?はっきり言って、今はこれっぽっちも信じられなかった。
「いい加減離して。暑い。重い。苦しい」
「なんか抱き枕的な感じで俺は楽なんだけどなーー……」
「こ、こらこら!見えないからって、何してんの!ぶん殴るわよ!」
「動けないくせに」
こ、こいつ……!なんって嫌な奴!
本当に動けないマリーはしばらく暑さを我慢し、抱き枕になってしまうのだった。絶対にこたつで寝るものかと誓いながら。

こういうスキンシップって大事だよね。いいよね。