(いつかちゃんと書いてみたいネタ.10 シュタインとマリーと梓)
日曜の朝っぱらから、真剣にテレビを見ているマリー。しかもなぜか梓も一緒に。わざわざここに来る必要がどこにあるのかと思うが、本当に真剣に見ているので、水を差すのはやめておいたほうが良さそうだ。どうせ聞いたところで、理解できるはずもない。
なにせ、二人が真剣な眼差しを向けているのは、子供向けアニメだからだ。5歳ぐらいの女の子たちがこぞって真似そうな変身もの。マリーが毎週見ていたのはもちろん知っていたが、まさか梓までリピーターだったとは、意外だった。
そして、30分という短い時間はあっという間に過ぎ、番組は終了。とたんに、あの敵は強かったとか、話の流れに無理があるとか、この台詞は良かっただとか……いい大人が子供向け番組について熱く語るのは、どうかと思うけど?しかも、その矛先が突然こちらに向けられた。
「と、言うわけなんだけど、シュタインはどう思う?」
「……なにが?」
まったく話を聞いていなかったので、何を言っているのかさっぱり。話題を振らないで欲しい。
「だーかーらー。この必殺技!鬼神との戦闘でも使えそうじゃないって!」
言いながら、マリーがテレビ画面を指差す。……録画してたのか。
画面には4人の少女が必殺技を繰り出すところだった。悲しいことに、この技知っている。本当に悲しいことに。
好き好んで見ていたわけではない。新聞読む傍らでマリーが毎週見ているせいで、嫌でも耳に入ってきて、知らず知らずに覚えていたのだ。
マリーが示す技とは『プ○キュア・フォーメーション・レディーゴー!』と一人の少女が叫ぶのを合図に、仲間全員が走り出し、順に自身の力を込めたリーフをパスしていくものだ。そして最後はシンボルである四つ葉のクローバーマークを完成させ、巨大な結晶を生み出し敵を閉じ込め浄化するという強力な必殺技……こんなに細かく覚えている自分には本当に呆れる。いや、それだけ記憶力が良いんだろう。
「まさか……これを実際にやろうと?」
「そう。出来そうじゃない?私と梓とシュタインとスピリット先輩で。かっくいいよ!死武専フォーメーション・レディーゴー!」
「……いや、無理でしょ」
「いえ。やろうと思えばできますよ」
「君までそんな無茶なことを……第一、どうやってやる……」
「あぁ、順番とか台詞ならこちらで考えておきますので、心配しなくても大丈夫ですよ。まずはスピリットさんに……」
頼んでもいないのに説明を始めてしまった。あの現実的な梓が非現実的なことを真剣に説明している。どうやら無謀な提案をするために朝から来たらしい。
こんな乙女な動きとか、妙なカメラ目線とか。例え出来たとしてもやりたくないんだけど。そもそも武器と職人は共鳴して本領発揮だと言うのに、そこら辺はどう考えているのだろうか。いやいや……やる気はないから、どうでもいいけどさ。
眼鏡を光らせてああだこうだと話続ける梓。目をキラキラさせて頷くマリー。はっきり言ってかなり迷惑なんだけど……夢見る二人から解放されるのは当分無理なようだ。
フレッシュ・プ○キュアのネタ