(いつかちゃんと書いてみたいネタ.11 マリー)

あからさまに眉が吊りあがり、苛々したオーラを出したまま、マリーは部屋を出た。
一体何をしに集まったと思っているのだ。生徒を救うための策を練るのではなかったのか?それが、若い女の子を呼んで、接待させて、酒まで飲んで、あげくの果てに『会議を盛り下げる奴は不用だ!』とぬかしやがった。
あぁあぁ、そうですか。私が悪いんですか。私が不真面目に見えたんですか。

「はぁ!?どっちが不真面目だっつーのよ!」

バシ!!と撃ちつけた拳は壁の破片をぱらぱらと落下させた。これ以上死武専を破壊するなと梓に注意されていたが、この怒りは収まらない。
どちらかと言うと、ゆるい雰囲気の死武専。普段の死神はあんな調子だし、緊迫感は本当の窮地でしか出さないメンツだ。死武専卒業生であるマリーにも適応していることだが、今日は無償に腹が立って仕方がなかった。
死神を筆頭に、デスサイズに最強職人、死武専職員。これだけ揃っても、脅しという形で魔女に頼るしかないのに、あんな馬鹿騒ぎに付き合ってられるわけがない。
そうでなくとも、マリーは気にしていたのだ。あのとき……ジャスティンを見つけ出したとき、有利な状況にも関わらずに見す見す逃したことを。捕らえることが出来ていれば、少しはマシになっていただろう。彼が簡単に口を割るとは思えないが……個人的に直接聞きたいこともあった。
これは自身に対しての怒りではあるが、合わせて色々と嫌なものが重なったせいで、輪をかけて神経を逆なでしているのだと思う。 婚期を逃したとか、余裕がないとか。めちゃくちゃ余計なお世話だから。……キャバクラ潰したろか!と一瞬殺意を覚えた。
すっかりと向こうのペースに流されて、シュタインもぼーっとしたまま魔女をナンパ。もちろんスピリットのような類ではなくて、解体したい好奇心からの発言だということは分かっている。 シュタインが好意から異性を意識するなんてあり得ない。そう、あり得ない――なんだか自分を否定しているようで、悲しくなってきた――から、気にすることでもないのに、ものすごく苛々するのだ。なんせ我慢は良くないなんて言いながらも、マリーの前でタバコを吸っているのを最近では滅多に見ない。これはどういうことだろうか……。

「……すぅーーはぁー」

それでも、ゆっくりと深呼吸して落ち着くと、後悔の波が押し寄せてくる。 かなり確率は低いが、キャバクラはスピリットなりの気遣いなのかもしれない。例え、タダ酒が飲みたかったとか、くだらない理由だとしても、あの場では一人不満を漏らしたマリーが空気を悪くしたのだ。一人で怒鳴って、怒って、少し大人げなかったかもしれない。
帰るところを誰にも引きとめられなかった。シュタインも何を考えているのか分からない。……なんにしろ、かなりヘコんだ。不安を振り払うように首を振ったマリーは、もう溜息しか出なかった。

第70話を読んで、なんだかもやもやしたので。