この先輩が突拍子もないことを発言してくるのには慣れている梓だったが、
心の中の溜息は無くならない。
久しぶりに再会した時も、便器と結婚するなどとあり得ないことを口走ったときは焦ったものだ。
これでも優秀な先輩なのに、どういう経緯で極端な案が生まれてくるのかが謎であり……そしてまた
現在もおかしな疑問を投げかけられていたのだった。
「で、どう思う梓は?」
「どうと聞かれましても……マリー先輩はそれで十分だと思いますけど」
「これじゃ、平均より少し大きいぐらいじゃない!」
本日の難問は……ずばり、胸はどうすれば大きくなるのか。
梓にとっては興味のない内容でもあり、成長しきったこの年齢で何を今更……と思いつつも、真剣な表情で
訴えかけてくるマリーには、なにかしらの回答をしなければ納得してもらうことは出来ないのだ。
そもそもマリーは、出るところが出で、締まるところが締まっている理想的な体系だと思う。
小柄で可愛らしいし、胸も梓よりは大きい。
これ以上求めなくとも十分ではないか……という言葉だけではきっと納得してもらえないだろうから、
梓は眼鏡のブリッジを押し上げて一言。
「そんなに大きくしたいなら、シュタインさんに揉んでもらえばいいじゃないですか」
「……梓!あ、あんたは、いつからそんな、イ、イヤラシイことを…!」
定番回答に動揺をあらわに叫ぶマリーを五月蝿いと思いながらも、こんな先輩が梓は大好きだったりする。
その人柄や存在に無意識に引き付けられるんですよ。
【15Title力と感覚より15引力/梓とマリー】